ポルトガル7日間ツアー、5日目。
いよいよこの旅のクライマックスです。ポルトガルからスペインへ国境を越え、世界三大巡礼地のひとつ「サンチャゴ・デ・コンポステーラ」へ向かいます。
実は私がこの場所に行きたいと思ったきっかけは、テレビ番組「世界ふしぎ発見!」でサンチャゴの巡礼の道が紹介されているのを観たことでした。1000年以上にわたって、ヨーロッパ各地から巡礼者たちが歩いて目指してきた聖地——。「いつかは、そこに自分も立ってみたい」とずっと思っていたんです。
そして今日、その夢が叶う日が来ました。
ポルトガルからスペインへ、国境越え
朝、エスピーニョのホテルを出発。サンチャゴ・デ・コンポステーラまでは約254キロのバス移動です。
「国境を越える」と聞くと、何か特別な体験を期待してしまいますが——正直、まったく実感がありませんでした(笑)。
EU(ヨーロッパ連合)のシェンゲン協定のおかげで、加盟国間の国境はパスポートチェックなしで通過できます。景色の違いもほとんど感じられず、気づいたら「ここはもうスペインです」と添乗員さん。「あれ、今越えたの?」という感じでした。
でも、これも貴重な体験。「ヨーロッパは陸続き」という地理感覚を、肌で実感した瞬間でした。
歓喜の丘(モンテ・ド・ゴソ)
サンチャゴ・デ・コンポステーラに到着する前、バスは「歓喜の丘(Monte do Gozo)」に立ち寄りました。
ここは、巡礼者たちが何百キロもの道のりを歩いてきて、初めてサンチャゴ大聖堂の尖塔を目にする場所。「ようやくゴールが見えた!」と歓喜する場所として、巡礼路の中でも特別な意味を持つ丘です。
丘の上には、2人の巡礼者を象った大きな銅像が立っています。長旅で疲れた表情ながら、遠くにサンチャゴの街を見つけて感動する姿——その姿に、私もちょっとウルッときてしまいました。
バスでショートカットしてきた私たちには、巡礼者たちの本当の苦労や喜びは到底分かりません。それでも、彼らがこの丘で感じた「歓喜」の片鱗を、想像することはできた気がします。

オブラドイロ広場で短い写真ストップ
市街地に到着して最初に訪れたのは、サンチャゴ大聖堂の正面に広がる「オブラドイロ広場(Praza do Obradoiro)」。サンチャゴ巡礼の最終ゴール地点として知られる、特別な広場です。
「歩いてきた巡礼者たちが、ここで感極まって涙を流したり、地面に座り込んだりする」と聞いていたのですが、私たちが訪れた日は意外なほど静かでした。残念ながら、巡礼者の姿は見かけません。
そして、目の前にそびえるオブラドイロ広場側のファサード。バロック様式の華麗な意匠と、左右にそびえる尖塔は、まさに「巡礼の終着点」にふさわしい威厳のある姿でした。
このオブラドイロ広場での滞在は短い写真ストップのみ。「あとで大聖堂内部の見学があるから」ということで、ここでは記念写真だけ撮って、次の目的地へ向かいました。

レストラン「Restaurante San Jaime」でガリシア料理ランチ
サンチャゴの伝統的なお店で
お昼は、サンチャゴ市内のレストラン「Restaurante San Jaime」でいただきました。お店の名前「San Jaime」は、スペイン語で「聖ヤコブ」を意味します。サンチャゴ・デ・コンポステーラの守護聖人の名を冠した、この街らしいレストランです。
今日のランチは、ガリシア地方の伝統料理を堪能できるコース。ポルトガル料理とは違う、スペイン・ガリシア地方の食文化を体験する貴重な機会です。
パン、チーズ、エンパナーダ
テーブルに最初に運ばれてきたのは、バスケットに山盛りのカリッとしたパンと、白いガリシアチーズ、そしてエンパナーダ・ガリェガ。
エンパナーダは、ツナや野菜などの具材をパイ生地で包んで焼いたガリシア地方の郷土料理。スペインの他の地域のエンパナーダとは違って、ガリシア地方ではパイ状の大きな焼き菓子のように作って切り分けるのが特徴です。


サラダとトルティージャ・エスパニョーラ
次に出てきたのは、新鮮なサラダと——スペインといえば!の「トルティージャ・エスパニョーラ(Tortilla Española)」。
トルティージャ・エスパニョーラは、ジャガイモと玉ねぎを使ったスペインの定番オムレツ。ふんわりとした卵にホクホクのジャガイモが詰まっていて、これがもう、本当に美味しい。「スペインに来た!」と実感する一品でした。

クロケッタも登場
続いて、こんがり揚げられたクロケッタ(Croquetas)がたっぷり登場。スペインのクロケッタは、日本のコロッケよりも小ぶりでクリーミー。一口かじると、中からとろりとしたベシャメルソースが溢れます。
サクサクの衣と濃厚な中身のコントラストがたまりません。スペイン料理のレベルの高さを改めて実感した一皿でした。

デザートは「タルタ・デ・サンチャゴ」!
そして最後に運ばれてきたデザートは——なんと!「タルタ・デ・サンチャゴ(Tarta de Santiago)」でした。
これは、サンチャゴ・デ・コンポステーラを代表するアーモンドを使ったケーキ。ガリシア地方の郷土菓子で、本来はケーキの表面に粉砂糖で「サンチャゴ十字(聖ヤコブの十字)」が描かれているのが特徴です。
私たちが食べたのはすでに切り分けられたピースだったので十字模様は見えませんでしたが、しっとり濃厚なアーモンドの風味と粉砂糖の優しい甘さが絶品。巡礼者たちもこのケーキで旅の疲れを癒したのかなと思うと、より一層味わい深く感じました。
サンチャゴ・デ・コンポステーラへ行かれる方は、ぜひこのタルタ・デ・サンチャゴを召し上がってみてくださいね。巡礼の地でしか味わえない特別な一皿です。

アラメダ公園と「二人のマリア」
満腹のお腹でレストランを出て、次に向かったのはアラメダ公園(Parque da Alameda)。サンチャゴ市街を見下ろせる小高い丘にある、市民の憩いの場です。
公園の展望スポットからは、サンチャゴ大聖堂の尖塔を含む街並みを一望できます。さっき間近で見た大聖堂を、今度は遠景で。それぞれの景色がまた違った美しさで、思わず何枚もシャッターを切りました。

「二人のマリア」の像
公園を歩いていると、ふと目に入ったのが「二人のマリア(Las Dos Marías)」の像。
カラフルな帽子と服を身につけた、2人の女性が並んで歩く姿が銅像になっています。この姉妹は20世紀のサンチャゴで実在した人物で、毎日同じ時間に着飾ってこの公園を散歩していたことから、街の名物となったそうです。
政治的な背景もあった人生だったと添乗員さんから聞きましたが、今ではサンチャゴの街を彩る親しみのある銅像として、観光客にも市民にも愛されています。

世界遺産⑨サンチャゴ・デ・コンポステーラ大聖堂
巡礼の終着点、ついに到着
そして、いよいよ大聖堂の内部見学へ。このツアー、最後の世界遺産です。
サンチャゴ・デ・コンポステーラ大聖堂は、聖ヤコブ(サンティアゴ)の遺骸が安置されていると伝わる教会。9世紀に建設が始まり、現在の姿に整えられたのは12世紀以降のこと。1985年に世界遺産に登録されています。
聖ヤコブはイエス・キリストの十二使徒のひとり。布教中にエルサレムで殉教したとされ、その遺骸が9世紀にこのスペイン北西部の地で発見されたという伝説があります。それ以来、エルサレム、ローマと並ぶキリスト教世界三大巡礼地のひとつとなりました。
大聖堂は2018年当時、一部が大規模修復工事中でした。それでも内部の主要部分はしっかり見学できました。重厚な石造りの空間、高い天井、祭壇の華やかな装飾——1000年以上の祈りが積み重なってきた厳かな空気が、ずっしりと感じられました。

聖ヤコブ像を抱きしめる
そして、サンチャゴ大聖堂で巡礼者が必ず行う伝統儀式があります。それが——「聖ヤコブ像を背中から抱きしめる」こと。
主祭壇の中央上部に、黄金に輝く聖ヤコブの像があります。その像の後ろに回り込み、背中から両腕で抱きしめる——これが、巡礼を達成したあかしとして長年続いてきた習わしです。
私もこの儀式を体験させてもらいました。
金色の聖ヤコブ像の背中に、そっと両腕を回したとき——言葉にならない、何か温かいものが心の中に広がりました。「世界ふしぎ発見!」を観ながら「いつか行きたい」と思っていた場所に、自分の腕で聖ヤコブを抱きしめている。夢が叶った瞬間でした。
もちろん私は本当に歩いてきたわけではありません。バスでショートカットして、楽をしてここまで来ました。それでも、この瞬間に感じた感動は、本物だったと思います。

9つ目の世界遺産、達成
サンチャゴ・デ・コンポステーラ大聖堂は、このツアーで訪れる9つ目の、そして最後の世界遺産。
リスボンのジェロニモス修道院から始まった世界遺産巡りの旅が、ここスペインの大聖堂でゴールを迎えました。7日間で9つの世界遺産——改めて振り返ると、本当に贅沢な旅程です。
エスピーニョのホテルへ戻り、最後の夕食
サンチャゴ観光を終え、バスはまた約254キロの道のりを戻り、エスピーニョのホテル「PRAIAGOLFE HOTEL」へ。ポルトガル滞在最後の夜です。
前菜のグリーンサラダ
夕食の前菜は、ベビーリーフを中心としたシンプルなグリーンサラダ。緑のレタスと赤紫の葉物のコントラストが美しい一皿。

メインは豚肉のグリル
メインは、豚肉のグリル。香ばしい焼き目がついた豚肉に、フライドポテトとブロッコリー、コーンの付け合わせ。シンプルですが、ポルトガル滞在最後の夜にふさわしい、王道の美味しさでした。

デザートは、きなこ風のクリームケーキ
デザートは、ふんわりとしたクリームの上にきなこのような粉をたっぷりまぶした、面白い見た目のケーキ。ポルトガルらしい卵と砂糖を使ったデザート文化を感じる一品でした。

6日目:いよいよ帰国の途へ
早朝出発、お弁当の朝食
6日目、2月13日(火)。帰国の日です。
ポルト発の飛行機が9時25分発のため、早朝にホテルを出発する必要がありました。レストランの朝食タイムには間に合わないので、朝食はお弁当形式でホテルが用意してくれました。
中身はハムとチーズのサンドイッチ、リンゴ、アイスティー。シンプルですが、移動中にバスの中で食べるには十分な内容です。早朝の暗いポルトガルを後にしながら、最後の朝食をいただきました。

ポルト空港からパリ経由で成田へ
エスピーニョから空港まで約18キロ。ポルトのフランシスコ・サ・カルネイロ空港から、エールフランス航空AF1529便でパリへ。
- ポルト09:25発 → パリ12:35着(AF1529)
- パリ13:35発 → 成田翌日09:25着(AF276)
パリでの乗り継ぎは約1時間。往路よりはずっと短い時間ですが、ターミナル間の移動などもあり、意外と慌ただしい乗り継ぎでした。
パリ→成田の機内食はしっかり2回
パリから成田までは約11時間50分の長旅。機内では機内食が2回提供されました。
長距離フライトの機内食は、旅の楽しみのひとつ。エールフランスの機内食はパンやデザートも本格的で、満足感がありました。窓の外を眺めながら、この7日間の出来事を一つひとつ思い返す時間にもなりました。

7日目:成田到着
7日目、2月14日(水)午前9時25分、成田空港に無事到着。
飛行機を降りて、日本の冬の空気を吸い込んだとき——「ああ、帰ってきた」という安堵感と、「もう旅が終わってしまった」という寂しさが、同時に押し寄せてきました。
でも、これは旅の終わりであり、「次の旅の始まり」でもあります。
シリーズ全体を振り返って——9つの世界遺産の旅
ここから先は、ポルトガル7日間ツアー全体の振り返りです。シリーズを最後までお読みくださった方への感謝を込めて、旅の総まとめをお届けします。
訪れた9つの世界遺産
このツアーで訪れた世界遺産を改めてまとめると——
- ジェロニモス修道院(リスボン)
- ベレンの塔(リスボン)
- シントラの文化的景観
- トマールのキリスト教修道院
- バターリャ修道院
- オビドス歴史地区
- コインブラ大学
- ポルト歴史地区
- サンチャゴ・デ・コンポステーラ(スペイン)
7日間で9つ。1日1つ以上のペースで世界遺産を巡るという、本当に贅沢な旅でした。
特に印象に残った世界遺産TOP3
その中でも、特に心に残ったTOP3はこちら。
1位:サンチャゴ・デ・コンポステーラ大聖堂
テレビで観てから「いつか行きたい」と思い続けていた場所。聖ヤコブ像を抱きしめた瞬間の感動は、ずっと忘れられないと思います。
2位:ロカ岬
「ユーラシア大陸最西端」という地理的なロマン、大西洋からの猛烈な風、カモンイスの詩。そして「次は喜望峰へ」という新たな目標が生まれた、人生の節目になった場所です。
3位:コインブラ大学
700年以上の歴史を持つ大学町の独特の雰囲気、ハリー・ポッターのような世界観のジョアニナ図書館、そして街歩き中に出会った金平糖のルーツ「コンフェイト」——予想を超えた発見がたくさんあった場所でした。
「次は喜望峰へ」——その後の旅
第3話で、ロカ岬で芽生えた「次は喜望峰へ」という思い。覚えていらっしゃるでしょうか。
実はその後——本当に喜望峰へ行きました。
ヴァスコ・ダ・ガマがインド航路を切り開く際に回った、アフリカ大陸南端の岬。ロカ岬で湧き上がった気持ちが、そのまま現実の旅になったんです。旅の目標は、口に出したり書き留めたりすると、本当に叶うものなんですね。
喜望峰旅行の詳細は、別の記事でご紹介していますので、よろしければあわせてお読みください。
ポルトガルでまた行きたい場所
このツアーで7日間ポルトガルを縦断し、たくさんの素晴らしい場所と出会いました。でも、改めて「また行きたい」と思う場所があります。
それは——リスボン・ベレン地区のエッグタルト元祖店「パステイス・デ・ベレン」です。
第2話で書いた、あの「もう一つ買っておけば良かった……」のエッグタルト。あの味が忘れられなくて、いつかリベンジ訪問したいんです。今度は迷わず複数買って、ホテルで思う存分頬張りたい。
そして、パステイス・デ・ベレンだけでなく、他の有名エッグタルト店も巡って食べ比べをしてみたいんです。リスボンには美味しいエッグタルトのお店がたくさんあるそうなので、「エッグタルト食べ歩き旅」というのも楽しそうですよね。
このツアーを選んで良かったこと
- 7日間でポルトガルを効率よく一周できた
- 9つの世界遺産を制覇できた
- 食事もすべて美味しかった(タコのリゾット、アレンテージョ料理など)
- スペインのサンチャゴ観光まで含まれていたのがお得感満載
- 添乗員さんの解説で、歴史背景を学びながら観光できた
- 2連泊のホテルが組み込まれていて、荷物移動の負担が少なかった
11万円台というツアー料金を考えると、本当にコスパ最強の旅でした。ツアー旅行ならではの効率の良さと、安心感を改めて実感した7日間です。
一人参加だったけれど、寂しくなかった
このツアーは一人参加で申し込みましたが、結果的にまったく寂しさを感じることなく過ごせました。
理由のひとつは、他にも一人参加の方々が何人かいたこと。同じ境遇の方がいると、自然と会話が生まれるんですよね。観光中、食事中、バス移動中——いろんな場面で旅の話題で盛り上がりました。
もし「ヨーロッパ旅行に行きたいけれど、一人参加が不安……」と思っている方がいたら、ぜひ思い切って申し込んでみてほしいです。添乗員さんがしっかりサポートしてくれるツアー旅行なら、海外旅行初心者でも安心して参加できます。
そして、次の旅へ
こうやってブログを書きながら写真を整理していると、「また旅に出たい」という気持ちが湧き上がってきます。
ヨーロッパには、まだまだ行ったことのない国がたくさんあります。お金も時間も有限、世界情勢の不安もある。だからこそ、行きたい場所には優先順位をつけて、後悔しないように進んでいこうと思います。
そして、私と同じように「いつか海外旅行へ行きたい」と思いながら、なかなか一歩を踏み出せない方がいたら——。
このブログが、その一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。
ポルトガルは、本当に素敵な国です。大航海時代の歴史、美しい世界遺産、美味しい料理、優しい人たち。そして、何より——「ユーラシア大陸最西端」という地球の端っこに立てる場所。一生に一度でいいから、ぜひ訪れてみてほしい国です。
シリーズ完結のごあいさつ
全6話にわたるポルトガル7日間ツアー旅行記、ここで完結です。
最後までお読みくださった皆さま、本当にありがとうございました。私の旅の追体験を一緒に楽しんでいただけたなら、これ以上の喜びはありません。
これからも、世界中を旅する記録をこのブログでお届けしていきます。引き続き、世界ぐるり✈旅のアルバム帖をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、また次の旅でお会いしましょう。
ポルトガル7日間ツアー旅行記シリーズ(全6話)
- 【序章】ポルトガル7日間ツアー|世界遺産9つを巡る大航海時代の国へ
- 【第2話】リスボン観光|大航海時代の世界遺産3つを巡る
- 【第3話】ロカ岬&シントラ宮殿|ユーラシア大陸最西端への旅
- 【第4話】トマール・バターリャ・オビドス|中部ポルトガル世界遺産3つ巡り
- 【第5話】コインブラ大学&ポルト歴史地区|世界遺産の街を巡る
- 【第6話】サンチャゴ・デ・コンポステーラ|国境を越えて巡礼の終着点へ【完結編】 ←今ココ


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