トマール・バターリャ・オビドス|中部ポルトガル世界遺産3つ巡り|ポルトガル7日間ツアー④

ツアー旅行体験談

ポルトガル7日間ツアー、3日目。

今日はリスボンを離れて、中部ポルトガルの世界遺産3つを一日で巡る欲張りな日。テンプル騎士団の街トマール、戦勝記念のバターリャ修道院、そして「谷間の真珠」と呼ばれる白い城壁の村オビドス——。

天気は晴れ。日本から持ってきたダウンジャケットがちょうど良い陽気でした。

中部ポルトガルへ、長距離バスの旅

ウォークマンで現地ラジオを楽しむ

この日の移動距離は、合計で約450キロ近く。日本でいえば東京から大阪くらいの距離をバスで移動します。

長時間のバス移動を楽しむために、私が持参していたのがソニーのウォークマン。実はこのウォークマン、FMラジオの受信機能が付いていて、現地のラジオ番組を聞くことができるんです。

窓の外に広がる中部ポルトガルの田園風景を眺めながら、聞き慣れないポルトガル語のDJの声と、流れてくる音楽。歌詞の意味は分からなくても、その土地の空気を耳から味わえる感じがして、これがとても楽しいんです。

海外旅行の長距離バス移動には、ぜひラジオが聞ける機器を持って行くことをおすすめします。スマホでも、現地でラジオアプリを入れれば同じことができますよ。

添乗員さんの解説が頼り

長距離バス移動のもう一つの楽しみは、添乗員さんからの解説。バスの中で、これから訪れる場所の歴史的背景や見どころを、資料を配ってくださりながら解説してくれます。

正直、ポルトガルの細かい歴史についての事前知識は、ほとんどありませんでした。テンプル騎士団のこと、ジョアン1世のこと、バターリャ修道院がなぜ建てられたのか——。バスの中で予習させてもらえるので、実際に現地に着いたときの感動が何倍にも増します。

こういう手厚いサポートが、ツアー旅行ならではの安心感ですね。

世界遺産④トマールのキリスト教修道院

テンプル騎士団の本拠地

リスボンから北東へ約145キロ。朝9時頃、トマールに到着しました。

トマールは、中世ヨーロッパで活躍したテンプル騎士団の本拠地だった街。十字軍の時代、聖地エルサレムを守るために結成された武装修道会で、ヨーロッパ各地に多大な影響を与えた組織です。

14世紀にテンプル騎士団が解散させられた後、その遺産を引き継いだのが「キリスト騎士団」。彼らの拠点として整備されたのが、丘の上にそびえるキリスト教修道院です。1983年に世界遺産に登録されました。

丘の上にそびえるトマールのキリスト教修道院。テンプル騎士団の本拠地だった場所

マヌエル様式の有名な「窓」

この修道院でなんといっても有名なのが、マヌエル様式の「参事会の窓」です。

マヌエル様式というのは、第2話のジェロニモス修道院でも見たポルトガル独特の建築様式。大航海時代を反映して、海や航海をテーマにしたモチーフがふんだんに使われています。

このトマールの「窓」は、マヌエル様式の最高傑作のひとつとして知られています。窓枠を見ると、ロープ、海藻、サンゴ、貝殻、船の帆を表すような装飾がびっしり。一つの窓だけで、これほど物語性のある彫刻を見たのは初めてでした。

「これを彫った石工さんたちは、どれだけ時間をかけたんだろう」——思わずそんなことを考えてしまうほど、緻密で美しい装飾でした。

マヌエル様式の最高傑作と言われる「参事会の窓」。海のモチーフが緻密に彫り込まれています

修道院の中にもアズレージョ

修道院の内部を見学していると、ここでも美しいアズレージョに出会いました。

ジェロニモス修道院、シントラ宮殿、そしてこのトマールのキリスト教修道院——ポルトガルを旅していると、どこに行ってもアズレージョに迎えられます。この国の文化的アイデンティティとも言える存在なんだなと、改めて実感しました。

修道院には他にも、円形のテンプル騎士団の教会(シャローラ)など、見どころがたくさん。テンプル騎士団というミステリアスな歴史と相まって、想像力を刺激される場所でした。

修道院内部のアズレージョ。ポルトガルの旅は、どこに行ってもアズレージョに迎えられます

世界遺産⑤バターリャ修道院

「戦闘」の名を持つ修道院

トマールから西へ約47キロ。次に訪れたのはバターリャ修道院です。1983年、トマールと同時に世界遺産に登録されました。

「バターリャ(Batalha)」はポルトガル語で「戦闘」を意味します。1385年のアルジュバロータの戦いでカスティーリャ軍に勝利したことを記念して、当時の国王ジョアン1世によって建てられました。戦勝を聖母マリアに感謝する意味も込められた、ポルトガル独立を象徴する修道院です。

バターリャ修道院の壮大な外観。ポルトガル独立を記念して建てられた、ゴシック様式の傑作

美しいマヌエル様式のステンドグラス

内部に入って、まず目を奪われたのはマヌエル様式のステンドグラス

高い天井に向かって伸びる細長い窓から差し込む光が、赤・青・黄色の鮮やかな色彩を石の床に映し出します。修道院の厳かな雰囲気の中で、ステンドグラスだけが鮮やかに色を放っていて、思わず立ち止まって見入ってしまいました。

ポルトガルでステンドグラスがこんなに美しい場所は、そう多くないそうです。バターリャ修道院に来たら、ぜひ見上げてみてください。

マヌエル様式の美しいステンドグラス。差し込む光が修道院の石の床を彩ります

未完の礼拝堂、雨が降ったらどうなる?

そして、バターリャ修道院で最も印象的だったのが、「未完の礼拝堂(Capelas Imperfeitas)」

その名の通り、建設途中で工事が中断され、屋根がないまま今に至るという、非常にミステリアスな空間です。

15世紀から建設が始まり、何代もの王が引き継いで建設を続けたものの、最終的に完成することはありませんでした。今では青空が天井代わりになっていて、見上げると壁の上端と空が直接つながっているんです。

この日は晴れていたから良かったものの、見学しながら正直思いました。

「雨が降ったら、どうなっちゃうの……?」

と。きっと、雨の日は床がびしょびしょになってしまうのでしょう。それでもこの「未完成のまま残されている」状態こそが、世界中の人を惹きつける魅力なんですよね。完成された美しさとは違う、何か余白のある美しさを感じる場所でした。

未完の礼拝堂。屋根がないまま今に至るミステリアスな空間。青空が天井代わりです

レストラン「DOM DUARTE」でアレンテージョ料理

バターリャ近くのレストランで昼食

バターリャ修道院の見学を終え、近くのレストラン「RESTAURANTE DOM DUARTE」で昼食をいただきました。

今日のメニューは、サラダ・メイン・デザートのコース。メインは、ポルトガル料理を代表する一品でした。

前菜のロシア風サラダ

前菜は、ジャガイモ・グリンピース・人参のマヨネーズ和え。日本のポテトサラダによく似ていて、優しい味わいで食べやすかったです。

前菜のサラダ。日本のポテトサラダによく似た優しい味わい

豚肉とアサリのアレンテージョ料理

メインは、ポルトガル料理の代表選手「カルネ・デ・ポルコ・ア・アレンテジャーナ(Carne de Porco à Alentejana)」。豚肉とアサリを一緒に煮込んだ、アレンテージョ地方の伝統料理です。

「豚肉とアサリ?」と聞くと、ちょっと意外な組み合わせに思えますよね。私も最初はそう思いました。でも、実際に食べてみると、これが本当に美味しい。豚肉の旨味とアサリから出る貝の出汁が絡み合って、想像以上に深い味わいになるんです。

付け合わせのジャガイモやオリーブ、玉ねぎ、にんじんも一緒に盛り付けられていて、見た目も華やか。「これがポルトガル料理なんだ」と納得の一皿でした。

メインは「カルネ・デ・ポルコ・ア・アレンテジャーナ」。豚肉とアサリを煮込んだ、ポルトガル料理の代表的な一品

デザートは生クリームたっぷりのスイーツ

デザートは、グラスにたっぷりの生クリームをトッピングしたプリンのようなスイーツ。下にはカラメル風の甘いソースが沈んでいて、ふわふわのクリームと一緒にすくっていただきます。

「ポルトガルのデザートは卵を使った甘いものが多い」と、添乗員さんから聞いていましたが、まさにそんな印象。卵と砂糖、ミルクの優しい甘さは、世界共通で愛される味ですね。

デザートは生クリームたっぷりのスイーツ。ポルトガルの卵を使ったデザート文化を感じる一品

世界遺産⑥オビドス、「谷間の真珠」の城壁の村

城壁に囲まれた白い村

昼食を終え、バスは次の目的地オビドス(Óbidos)へ。バターリャから約50キロの距離です。

オビドスは、城壁にぐるりと囲まれた小さな村。その美しさから「谷間の真珠」と呼ばれてきました。歴代のポルトガル女王たちに愛され、結婚祝いに贈られたという歴史もある特別な場所です。

バスを降りて村に近づくと、まず目に飛び込んでくるのは高くそびえる城壁。中世にそのまま戻ったような佇まいに、思わず「うわぁ」と声が出てしまいました。

「谷間の真珠」オビドス。高くそびえる城壁にぐるりと囲まれた中世の村

メインストリート、ディレイタ通りを歩く

オビドスでは自由散策の時間がありました。村のメインストリートはディレイタ通り(Rua Direita)。城門をくぐると、すぐにこの通りが始まります。

石畳の細い通りには、白壁に青や黄色のラインが入った可愛らしい家々が並びます。土産物屋、カフェ、ジンジャ酒のお店、本屋——歩いているだけで楽しい通りです。

そして、お店の壁や民家の壁にも、いたるところにアズレージョ。村全体が一つの美術館のようでした。

メインストリートのディレイタ通り。白壁と青・黄色のラインが可愛らしい家々が並びます

ジンジャ酒の文化(下戸の私は見るだけ)

オビドス名物といえば、ジンジャ(Ginja)というチェリーリキュール。さくらんぼで作った甘いお酒です。

そして面白いのが、提供のされ方。チョコレートで作られた小さなカップに注がれて、飲み終わったらカップごと食べられるんです。ポルトガルらしい遊び心のある飲み方ですよね。

残念ながら私は下戸なので、今回はパスしました。でも、ジンジャ酒を試飲しているツアーの仲間たちを見ながら、「飲める人が羨ましい」と少しだけ思いました。

お酒が飲める方は、ぜひオビドスでジンジャを試してみてください。3〜5ユーロ程度で気軽に体験できますよ。

リスボンへ帰還、ファドショーへ

ホテルで夕食、それから……

オビドスからリスボンへ約82キロ。3日目最後の長距離移動を経て、ホテルへ戻ったのは夕方。2連泊最終日のホテルで夕食をいただきました。

そして、この日の夜はオプショナルツアーのファドショーに参加することにしていました。

ポルトガルの魂、ファドの夜

ファド(Fado)は、ポルトガルの伝統音楽。「運命」を意味するこの音楽は、ポルトガル人の魂とも言われています。ユネスコの無形文化遺産にも登録されている、ポルトガル文化の象徴です。

会場はリスボン市内のファドハウス。ドリンクが1杯付いて、約3時間のショーです。

店内が暗くなり、ポルトガルギターと普通のギターの音色とともに、女性歌手が歌い始めました。

その瞬間——。

哀愁漂う歌声に、思わず息を呑みました。

もちろん歌詞のポルトガル語は分かりません。それでも、声の響き、表情、抑揚、ギターの音色——そのすべてから、何か胸に迫るものが伝わってくるんです。

「サウダーデ(saudade)」——ポルトガル人が大切にする感情で、過ぎ去ったものへの郷愁や切なさを表す言葉だそうです。ファドは、まさにこの「サウダーデ」を歌っているのだと、添乗員さんが教えてくれました。

意味は分からなくても、グッとくる。それが音楽の力であり、ファドの力なんですね。

ポルトガルの伝統音楽ファド。ポルトガルギターの音色と哀愁漂う歌声に、思わず息を呑みました

世界遺産3つ+ファド、充実の3日目

朝9時のトマールから、夜のファドショーまで。世界遺産3つ+ポルトガル文化体験と、本当に盛りだくさんの一日でした。

正直、肉体的にはハードな1日です。でも、それを上回る充実感と満足感がありました。1日でこれだけ多くのものを体験できるのは、ツアー旅行ならではの強みですね。

明日からはリスボンを離れ、いよいよ北部ポルトガルへ向かいます。

次回予告:コインブラ大学とポルトの世界遺産へ

4日目は、リスボンを発って北部ポルトガルへ。ポルトガル最古の大学町コインブラ、そしてポルトワインの故郷ポルト——2つの世界遺産の街を巡ります。

ハリー・ポッターの世界観の元になったとも言われる、コインブラ大学の図書館とは——。そして、ドウロ川を渡る巨大な鉄橋から見たポルトの絶景とは——。

次回もぜひお付き合いください。


ポルトガル7日間ツアー旅行記シリーズ

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