世界遺産マラッカ観光|多文化が交わる古都を半日で【ツアー3日目】

ツアー旅行体験談

マレーシア旅行記の第5回。いよいよ、この旅のハイライトとも言える一日です。ツアー3日目の午後、私はクアラルンプールを離れ、世界遺産の街マラッカへと向かいました。

色鮮やかな街並み、幾層にも重なった歴史、多様な宗教が同居する光景、そして海に沈む夕日。半日とは思えないほど濃密な時間を、順を追ってお届けします。

※本記事は2017年2月の訪問時点の情報をもとにしています。施設の状況などは、旅行前に必ず最新情報をご確認ください。

世界遺産の街、マラッカへ

クアラルンプールから南へ、片道約150キロメートル。バスに揺られること2時間半で、マラッカに到着します。

マラッカは、マラッカ海峡に面した古い港町です。かつて東西交易の要衝として栄え、15世紀にはマラッカ王国が繁栄しました。その後、ポルトガル、オランダ、イギリスと、次々に支配者が入れ替わった歴史を持ちます。さまざまな国の文化が重なり合ったこの街並みは、2008年にユネスコの世界遺産に登録されました。

ヨーロッパ、中国、マレー、インド。ひとつの街を歩くだけで、これほど多くの文化に出会える場所は、そうそうありません。マラッカは、まさに「歴史の交差点」と呼ぶにふさわしい街でした。

オランダ広場とキリスト教会 — 赤い街の中心

まず訪れたのは、マラッカ観光の中心地、オランダ広場です。

オランダ広場のキリスト教会。鮮やかな赤い建物が印象的で、多くの観光客で賑わっていました

広場に足を踏み入れて、まず目を奪われるのが、鮮やかな赤茶色の建物群です。これらはオランダ統治時代に建てられたもの。なかでもひときわ目を引くのが、「CHRIST CHURCH MELAKA」の文字を掲げたキリスト教会です。1753年に建てられたこの教会は、白い十字架と赤い壁のコントラストが美しく、マラッカのシンボルのひとつとなっています。

広場のまわりには、これでもかと派手に飾り立てられた自転車タクシー「トライショー」がずらり。花や人形で華やかに装飾され、なかには音楽を鳴らしながら走るものも。観光客を乗せて広場を行き交う姿は、マラッカの名物風景です。

広場は観光客で大いに賑わっていました。お土産物の露店も立ち並び、活気にあふれています。世界遺産の街の玄関口にふさわしい、華やかな始まりでした。

青雲亭寺院 — マレーシア最古の中国寺院

オランダ広場から少し歩くと、街の雰囲気ががらりと変わります。ヨーロッパ風の赤い建物から、一転して中国情緒あふれるチャイナタウンへ。その一角にあるのが、青雲亭寺院(チェンフーテン寺院)です。

マレーシア最古の中国寺院、青雲亭寺院。屋根の上の精緻な装飾と、無数の赤い提灯が印象的でした

この寺院は、17世紀に建てられたとされる、マレーシア最古の中国寺院です。真っ赤な提灯が連なり、屋根の上には色とりどりの精緻な装飾がびっしり。中国から運ばれた材料で建てられたといわれ、その本格的な佇まいには、思わず見入ってしまいます。

興味深いのは、この寺院が仏教・儒教・道教という3つの教えを、ひとつの場所で祀っているということ。日本ではあまり馴染みのない考え方ですが、複数の信仰が自然に共存している様子に、マレーシアという国の懐の深さを感じました。線香の煙がゆらめく境内には、厳かで穏やかな空気が流れていました。

カンポン・クリン・モスク — 街に息づくイスラムの祈り

青雲亭寺院のほど近くには、モスク(イスラム教の礼拝所)もあります。カンポン・クリン・モスクです。今回は外から眺めるだけでしたが、その独特の姿は強く印象に残りました。

外から眺めたカンポン・クリン・モスク。緑の屋根と、幾層にも重なる独特の塔が目を引きます

一般的にモスクというと、玉ねぎ型のドームと尖った塔(ミナレット)を思い浮かべる方が多いと思います。ところがこのモスクは、緑色の屋根が幾重にも重なり、塔もどこか中国やインドの建築を思わせる、独特の姿をしています。マレー、中国、インド、ヨーロッパ。さまざまな文化が混ざり合ったマラッカらしさが、この一棟の建物にも表れているようでした。

中国寺院とモスクが、歩いてすぐの距離に並んで建っている。そのすぐ近くにはキリスト教会もある。異なる宗教がこれほど自然に隣り合っている光景は、多民族国家マレーシアならではのものです。改めて、この国の多様性を肌で感じました。

セントポールの丘へ — ザビエルと日本のつながり

次に向かったのは、セントポールの丘。オランダ広場から階段を登った小高い丘の上に、セントポール教会の跡があります。

丘の上に立つセントポール教会跡。屋根はなく、壁だけが残ります。左手に見えるのがザビエル像です

この教会は、1521年、ポルトガル統治時代に建てられました。しかし、その後の支配者であるオランダやイギリスが異なる宗派だったため、長らく放置され、今では屋根のない、壁だけの姿になっています。それでも、朽ちてなお残る壁の佇まいには、数百年の歴史の重みが確かに宿っていました。

そして、この教会の前に立つのが、フランシスコ・ザビエルの像です。そう、日本の歴史の教科書にも登場する、あのザビエルです。

実は、ザビエルはこのマラッカから日本へと布教の旅に発ったと伝えられています。さらに、彼が亡くなったあと、その遺骸が一時期このセントポール教会に安置されていたのだそうです。遠いマレーシアの地で、日本と深くつながる歴史に出会う。「ザビエルがここから日本へ」と思うと、教科書のなかの人物が急に身近に感じられて、不思議な感慨がこみ上げてきました。

丘の上からは、マラッカの街並みと、その向こうに広がるマラッカ海峡を見晴らすことができます。かつてこの海を、さまざまな国の船が行き交ったのだと思うと、感慨もひとしおでした。

サンチャゴ砦 — ポルトガルが遺した要塞

丘を下ると、石造りの堂々とした門が現れます。サンチャゴ砦です。

サンチャゴ砦。ポルトガルが築いた要塞の一部で、今は門だけが残ります。マレーシア最古のヨーロッパ建築とも

この砦は、1511年にポルトガルが築いた要塞の一部です。かつてはセントポールの丘をぐるりと囲む広大な要塞だったそうですが、時代の流れのなかで大半が失われ、今ではこの門の部分だけが残っています。マレーシア最古のヨーロッパ建築とも言われる、貴重な遺構です。

風雨にさらされ、ところどころ崩れかけた石の壁。500年もの時を経てなお立ち続けるその姿に、歴史の生き証人としての風格を感じました。ちなみに、門の前ではキャラクターの着ぐるみが観光客を出迎えていて、荘厳な史跡とのギャップに、思わず笑みがこぼれました。こういう肩の力の抜けた光景も、旅の楽しい一コマです。

自由行動 — ショッピングモールで涼む

ひととおりの観光を終え、しばしの自由行動の時間が設けられました。

正直に告白すると、私はこの時間、近くのショッピングモールに入って、ウィンドウショッピングをしながら涼んでいました。マラッカの日中はとにかく暑い。歩き通しで火照った体には、冷房の効いた屋内が何よりのごちそうです。

世界遺産の街まで来て、やっていることがモールで涼むだなんて、我ながら少し可笑しくなります。でも、これもまた正直な旅の姿。無理に予定を詰め込んで疲れきってしまうより、自分のペースで休みながら回るほうが、結局は旅を楽しめるものです。特に一人参加なら、誰に気兼ねすることもなく、こうして気ままに過ごせるのが利点です。頑張りすぎないことも、長く旅を続けるコツだと思っています。

水上モスクと、マラッカ海峡に沈む夕日

そして、この日の締めくくり。マラッカ観光のクライマックスは、海の上に立つ美しいモスクと、そこに沈む夕日でした。

海の上に浮かぶように立つ水上モスク。白い姿が、曇り空を背景に幻想的でした

マラッカ海峡モスク、通称「水上モスク」。海に突き出すように建てられたこのモスクは、満潮時にはまるで水の上に浮かんでいるように見えることで知られています。白を基調とした優美な姿に、金色と青のドーム。こちらも外から眺めるだけでしたが、その美しさは十分に伝わってきました。

この日は少し雲の多い空模様でしたが、それがかえって、モスクの白さを幻想的に引き立てていました。

マラッカ海峡に沈む夕日。雲の切れ間から差す光が、海を金色に染めていきました

そして、日が傾きはじめます。雲の切れ間から、夕日の光が幾筋も海へと降りそそぎ、マラッカ海峡の水面を金色に染めていきました。かつて幾多の交易船が行き交ったこの海に、今、静かに日が沈んでいく。その荘厳な光景を前に、しばし言葉を忘れて見入っていました。

歴史ある街で迎える夕暮れは、格別のものがあります。旅の一日の終わりに、こんなにも美しい景色に出会えるとは。マラッカという街の懐の深さを、最後の最後まで感じた瞬間でした。

締めくくりは、ニョニャ料理の夕食

マラッカ観光の締めくくりは、この街ならではの料理、ニョニャ料理の夕食でした。

この日の夕食、ニョニャ料理。中華とマレーが融合した、マラッカならではの味わいでした

ニョニャ料理とは、中国系移民と現地マレーの文化が融合して生まれた「プラナカン」と呼ばれる人々の食文化です。中華料理の調理法をベースに、マレー料理の香辛料やココナッツミルクを取り入れた、この土地ならではの味わいが特徴です。

お皿には、エビや、もやしの炒めもの、ごはん、卵料理など、いろいろな品が少しずつ。中華のようでいて、どこかマレーのスパイスの香りも漂う、不思議で奥深い味わいでした。ひとつの料理のなかに複数の文化が溶け合っているところは、まさにマラッカという街そのもの。歴史を舌でも味わえたようで、この一日の締めくくりにふさわしい食事でした。

濃密な一日を終えて

ヨーロッパの教会、中国の寺院、イスラムのモスク。そして海に沈む夕日と、文化の交わったニョニャ料理。マラッカの半日は、この旅で最も密度の濃い時間となりました。ひとつの街のなかに、これほど多くの世界が詰まっているとは。世界遺産の名にふさわしい、忘れられない一日でした。

夜、バスでクアラルンプールのホテルへと戻り、マレーシアでの最後の夜が更けていきました。

次回は、いよいよシリーズ最終回。4日間の旅を締めくくる帰国編とあわせて、ツアーにかかった費用の総まとめ、持ち物リスト、そして現在の入国手続き(電子入国カード)の最新情報まで、これからマレーシアを訪れる方に役立つ実用情報をぎゅっとまとめてお届けします。

次回、「マレーシア4日間ツアーの費用と持ち物まとめ」編。どうぞ最後までお付き合いください。

シリーズ|マレーシア クアラルンプール・マラッカ 4日間(全6話)

この旅行記は全6話でお届けします。公開が進みしだい、順次リンクを追加していきます。

  1. 羽田深夜発・機内泊のリアルな過ごし方|JTB旅物語・一人参加
  2. クアラルンプール市内観光|王宮・国家記念碑・独立広場・ツインタワーを半日で
  3. セランゴールの蛍鑑賞と海鮮料理の夕食|オプショナルツアー参加レポート
  4. バツー洞窟とKLタワー|午前半日オプショナルツアーで巡るクアラルンプール
  5. 【本記事】世界遺産マラッカ観光|オランダ広場・セントポール教会・サンチャゴ砦とニョニャ料理
  6. マレーシア4日間ツアーの費用と持ち物まとめ|一人参加で失敗しないための全記録(近日公開)

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