マレーシア旅行記の第4回です。ツアーは3日目に入ります。この日の午前は、もうひとつのオプショナルツアーへ。ヒンドゥー教の聖地バツー洞窟と、クアラルンプールを一望するKLタワーを巡る、半日のコースです。
そして午後には、いよいよ世界遺産の街マラッカへと発ちます。朝から夜まで、ぎっしり予定の詰まった一日の幕開けです。
※本記事は2017年2月の訪問時点の情報をもとにしています。施設の状況や服装ルールなどは、旅行前に必ず最新情報をご確認ください。
3日目の朝、もうひとつのオプショナルツアーへ
この日の午前中に参加したのは、7,000円のオプショナルツアー。前夜の蛍鑑賞に続いて、我ながら意欲的だなと思います。でも、せっかく遠いマレーシアまで来たのだから、行けるところは行っておきたい。その気持ちが勝りました。
結果として、この選択は大正解でした。バツー洞窟もKLタワーも、自力で行くにはやや骨が折れる場所。効率よく連れて行ってもらえるツアーの利点を、この日も存分に感じることになります。
バツー洞窟 — 黄金の神像がそびえる聖地
まず向かったのは、バツー洞窟(バトゥ・ケイブ)。クアラルンプールから車で30分ほどの場所にある、ヒンドゥー教の聖地です。インド国外では最大規模ともいわれる、由緒ある巡礼地なのだそうです。

到着してまず圧倒されるのが、入口にそびえる巨大な黄金の神像です。高さはなんと42.7メートル。これはヒンドゥー教の軍神ムルガン神で、シヴァ神から生まれ、勝利や守護を司るとされる神様なのだそうです。青空を背に黄金色に輝くその姿は、遠くからでもひときわ目を引きます。
ここで、少しだけ「今」との違いをお話しさせてください。神像の奥に続く272段の階段、私が訪れた2017年当時は、写真のとおり自然な石の色をしていました。実はこの階段、翌2018年にカラフルな虹色へと塗り替えられ、今ではその鮮やかな姿がバツー洞窟の象徴として知られています。今から思えば、塗装される前の落ち着いた姿を見られたのは、少し貴重な体験だったのかもしれません。
272段の階段を、汗をかきながら
さて、この272段。これがなかなかの登りごたえでした。日差しは強く、気温も高い。一段一段のぼるごとに、じわりと汗がにじんできます。日頃の運動不足を思い知らされながら、途中で息を整えつつ、なんとか登りきりました。
階段の途中では、名物である猿たちがあちこちにいます。人を恐れる様子もなく、堂々としたもの。かわいらしいのですが、油断すると持ち物を奪われることもあるそうなので、荷物はしっかり抱えておくのが安心です。

ひとつ、女性の方にお伝えしておきたいことがあります。バツー洞窟は神聖な宗教施設のため、肌の露出には決まりがあります。肩や膝が出る服装では入れないことがあり、その場合は入口で腰巻きを借りて着用します。訪れる際は、羽織るものやひざ下丈のボトムスを準備しておくと安心です。
神秘的な洞窟と、忘れられない出会い
階段を登りきると、そこには巨大な洞窟が広がっていました。石灰岩でできたこの洞窟は、気の遠くなるような年月をかけて形づくられたもの。ひんやりとした空気と、見上げるほど高い天井に、思わず息をのみます。

とりわけ心を打たれたのは、洞窟の天井にぽっかりと開いた穴から、光が一筋、差し込んでくる光景でした。暗がりに射すその光は神々しく、なぜここが聖地とされてきたのか、理屈ではなく体で納得できるような気がしました。
洞窟の奥には祭壇があり、参拝ができるようになっています。でも、ヒンドゥー教の作法など、私にはまるで分かりません。どうすればいいのだろうと、きょろきょろとあたりを見回していました。
すると、それに気づいた地元の家族連れのご婦人が、身振り手振りで参拝の仕方を教えてくださったのです。言葉は通じません。それでも、手の動き、優しいまなざし、うなずき。そのすべてから、彼女の親切がまっすぐに伝わってきました。おかげで私は、無事にお参りを済ませることができました。
言葉が通じなくても、人の温かさは国境を越える。旅先でこういう出会いがあると、その土地がいっそう好きになります。名前も知らないあのご婦人に、今でも感謝しています。一人参加の旅は心細いこともありますが、だからこそ、こうした小さな親切が胸に深く染みるのだと思います。
火照った体に、ココナッツジュースを一杯
272段を往復し、洞窟を巡り終えた頃には、体はすっかり汗ばんでいました。喉はからから。そんな私が思わず手に取ったのが、露店で売られていたココナッツジュースです。

ヤシの実にストローを挿しただけの、素朴な一杯。けれど、これが忘れられない味になりました。ほんのり甘く、すっきりとした自然の水分が、火照った体の隅々までしみわたっていきます。暑い国で汗をかいたあとに飲むココナッツジュースは、どんな高級な飲み物にも代えがたいごちそうでした。旅先での、ささやかで最高の贅沢です。
KLタワーからクアラルンプールを一望
バツー洞窟をあとにして、次に向かったのはKLタワー。マレー語で「メナラ・クアラルンプール」と呼ばれる通信塔です。

高さは421メートル。東南アジアでもっとも高い通信塔で、クアラルンプールのランドマークのひとつです。しかもこのタワー、標高94メートルほどの丘の上に建てられているため、数字以上に高くそびえて見えます。すらりと空へ伸びるその姿は、青空によく映えていました。
エレベーターで一気に、地上276メートルほどの展望台へ。ここからの眺めが、実に見事でした。

眼下には、クアラルンプールの街並みが地平線まで広がります。そして、ひときわ目を引くのが、あのペトロナスツインタワー。前日には足元から見上げた2本の塔を、今度はほぼ同じ目線で、街のなかにすっくと立つ姿として眺める。同じ建物でも、見る角度が変わるだけで、こうも印象が変わるのかと感心しました。高いところから街を見下ろすと、その都市の全体像がすっと頭に入ってきます。
近未来的な高層ビル群の向こうに、緑の山並みが霞んで見える。開発の進む都市と、豊かな自然が同居しているのも、クアラルンプールらしい景色でした。
午前ツアーを終えて — いよいよマラッカへ
バツー洞窟とKLタワー。タイプの異なる2つの名所を、午前中だけでめぐる充実のコースでした。7,000円という料金も、移動の手間や効率を思えば、じゅうぶんに納得のいくものでした。個人で回ろうとすれば、この2か所を半日で、というのはなかなか大変ですからね。
午前の観光の締めくくりは、このオプショナルツアーに含まれていた昼食。マレーシアの定番グルメ、チキンライスです。ゆで鶏の載ったごはんは、あっさりとしていて食べやすく、汗をかいた体にちょうどよい塩気。シンガポールでも有名なこの料理、マレーシアでも広く親しまれている庶民の味です。

聖地で心を洗われ、展望台で街を見晴らし、ココナッツジュースで喉を潤す。朝からずいぶん濃い時間を過ごしましたが、この日の本番は、まだこれからです。
午後、私を乗せたバスは、クアラルンプールを離れ、南へと向かいます。目指すは、片道約150キロメートル、2時間半の道のりの先にある世界遺産の街――マラッカ。
次回、「世界遺産マラッカ観光」編。この旅のハイライトとも言える、色鮮やかな古都の一日をお届けします。どうぞお楽しみに。
シリーズ|マレーシア クアラルンプール・マラッカ 4日間(全6話)
この旅行記は全6話でお届けします。公開が進みしだい、順次リンクを追加していきます。
- 羽田深夜発・機内泊のリアルな過ごし方|JTB旅物語・一人参加
- クアラルンプール市内観光|王宮・国家記念碑・独立広場・ツインタワーを半日で
- セランゴールの蛍鑑賞と海鮮料理の夕食|オプショナルツアー参加レポート
- 【本記事】バツー洞窟とKLタワー|午前半日オプショナルツアーで巡るクアラルンプール
- 世界遺産マラッカ観光|オランダ広場・セントポール教会・サンチャゴ砦とニョニャ料理(近日公開)
- マレーシア4日間ツアーの費用と持ち物まとめ|一人参加で失敗しないための全記録(近日公開)


コメント