初めての入院・腹腔鏡手術体験記、最終話です。
第1話では手術を決めるまでの経緯を、第2話では手術当日から術後2日目までをお伝えしました。最終話となる今回は、退院までの入院生活、気になる費用の全額内訳、そして退院後のリアルな暮らしをまとめます。
「腹腔鏡手術っていくらかかるの?」「高額療養費制度って実際どう使うの?」「退院後はいつから普通の生活に戻れるの?」——入院前の私が知りたかったお金と生活のこと、包み隠さずお話しします。
※費用は高額療養費制度の自己負担限度額区分や年度によって異なります。あくまで私の場合の参考としてお読みください。
術後3日目(退院前日)|久々のやる気がみなぎる朝
術後3日目の朝、目が覚めたときの気分が違いました。久々にやる気がみなぎっている自分がいたのです。前日までは微熱でぐったりしていたのに、今日は頭がクリアで、体も軽い。窓から差し込む朝の光が気持ちよくて、「ああ、回復しているんだな」と実感しました。体ってちゃんと回復していくんだなと改めて思いました。
とはいえ、まだ運動はできません。このみなぎるエネルギーをどうしようかと思い、ジャーナリング(書く瞑想)をすることにしました。入院中に感じたこと、怖かったこと、看護師さんへの感謝、退院後にやりたいこと……。頭の中のモヤモヤを言葉にして書き出すと、気持ちがスッキリ整理されていきました。入院中の暇つぶしとしても、ジャーナリングはおすすめです。
退院に向けた準備
退院前日なので、採血がありました。術後の回復状況を数値で確認するためです。
看護師さんからは退院後の生活の注意点についても説明を受けました。重いものを持たない、激しい運動は控える、入浴はシャワーのみ、お腹のテープは自分で剥がさない、異常を感じたらすぐ病院に連絡……など。退院後の生活で気をつけることは意外と多いので、メモを取っておくと安心です。
この日の食事もおいしく完食。昼食後、やはりなかなか便意がなかったので薬を飲んでスッキリ排便しました。術後のお通じ問題は地味に続くので、遠慮せず先生に相談するのが一番です。シャワーも浴びて、午後にまた微熱が出たのでひたすら寝ました。微熱が出るのは午後のパターンが多かったです。
退院の日|今までありがとう、私の子宮と卵巣
遂に退院の朝を迎えました。6日間過ごした病室を見回すと、入院初日に泣きながら過ごしたのがウソのように穏やかな気持ちでした。
7時30分に先生の診察があり、手術の画像を見ながら説明してもらいました。自分のお腹の中がどうなっていたのか、どこが癒着していたのか、画像で見るとリアルで不思議な気持ちでした。
摘出された子宮と左側の卵巣の画像も見せていただきました。長い間、私の体の一部だったもの。「今までありがとう、私の子宮と卵巣」——自然とそんな気持ちが湧いてきました。そして、綺麗に手術してくださった先生に心から感謝です。
退院後2週間後の診察の予約をして、自分の病室に戻り朝食。朝食後は着替えをして退院の準備をしました。入院費用の請求書ができるまで病室で待機です。
10時頃、1階の会計窓口に行き支払いを済ませました。マイナ保険証のおかげで高額療養費が自動適用され、窓口での支払いは自己負担限度額のみ。ここでも手続きの手間が省けて助かりました。病室に戻ると看護師さんと一緒にお部屋に忘れ物がないかを確認。最後に看護師さんにお礼を伝えて、無事に退院しました。
両親や友達、医療スタッフの方々の優しさに感謝の気持ちでいっぱいの6日間でした。
腹腔鏡手術の入院費用|全額内訳を公開
入院前、一番気になっていたことの一つが費用でした。ネットで調べても「数十万円」「人による」といった曖昧な情報が多く、具体的な金額がなかなか見つかりませんでした。「30万円くらいかかるのかな……」と覚悟していたのですが、実際はそれよりずっと安くてビックリしました。これから手術を控えている方の参考になればと思い、私の実際の費用を全額公開します。
高額療養費制度とマイナ保険証
今回の費用が抑えられた大きな理由は、高額療養費制度を利用できたことです。
高額療養費制度とは、ひと月の医療費の自己負担額が一定の上限を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。通常は後日手続きをして払い戻しを受けますが、事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば窓口での支払いが上限額までになります。
私の場合、マイナンバーカードと健康保険証を紐づけしていたので、この手続きが不要でした。マイナ保険証を持っている方は、病院の窓口でマイナンバーカードを提示するだけで自動的に高額療養費制度が適用されます。面倒な申請がいらないのは本当に助かりました。まだ紐づけがお済みでない方は、入院前にやっておくことをおすすめします。
費用の内訳
私の場合の入院費用の内訳は以下の通りです。
| 項目 | 内訳 | 金額(税込) |
|---|---|---|
| 保険対象の自己負担額 | 高額療養費制度適用後 | 106,490円 |
| 個室代(差額ベッド代) | 8,250円 × 6日 | 49,500円 |
| パジャマ・タオル・日用品レンタル | 500円 × 5日 | 2,500円 |
| 腹帯(入院前に購入) | 2,695円 | |
| T字帯(入院前に購入) | 924円 | |
| サニタリーショーツ 3枚(入院前に購入) | 1,580円 | |
| 合計 | 約160,000円 |
※保険対象の自己負担額は前年の年収によって異なります。あくまで参考としてご覧ください。
個室を選ばなければ約11万円
私はトイレ付きの個室を選びましたが、4人部屋であれば差額ベッド代がかからないので約11万円で済みます。個室か大部屋かは好みや体調との相談になりますが、第2話でも書いたように、術後のおならやトイレの回数を考えると個室のメリットは大きかったです。
腹腔鏡手術は開腹手術に比べて傷口が小さく、入院期間も短くて済むのが大きなメリットです。そのぶん入院費用も抑えられます。入院前に30万円くらい覚悟していたので、実際の金額を見て「安い!」と思ったのが正直な感想です。もちろん約16万円は決して少額ではありませんが、高額療養費制度のおかげで自己負担がここまで抑えられる日本の医療制度には本当に感謝しかありません。
民間の医療保険に入っていなかった私の場合
ちなみに、私は民間の医療保険には加入していません。
2025年9月に会社を退職し、現在はサイドFIREを目指して暮らしています。医療保険に入っていない代わりに、1年分の生活防衛費を確保しており、今回の入院費用はそこから捻出しました。
約16万円の出費は決して小さくはありませんが、生活防衛費があったおかげで慌てることなく対応できました。「保険に入っていないけど大丈夫かな」と不安な方もいるかもしれませんが、高額療養費制度がしっかりしている日本では、ある程度の貯蓄があれば民間保険なしでも乗り切れるケースは多いと感じます。もちろん、これは個人の考え方次第なので、ご自身の状況に合わせて判断してくださいね。
退院後の暮らし|回復と新しい不安
退院してからは自宅でゆっくり回復に専念しました。最初の1週間は買い物に出るのも大変で、食料品の買い出しは両親に助けてもらいました。少しずつ歩ける距離が伸びていき、2週間が経つ頃には日常生活はほぼ普通にこなせるようになりました。とはいえ、重いものを持ったりお腹に力を入れたりすると痛みが走ることがあるので、無理は禁物です。
退院後の診察と経過
退院2週間後に最初の診察がありました。経過は順調とのことで一安心。次の診察は手術から3ヵ月後に予定されています。
運動については、手術後2ヵ月からにするよう言われました。早く体を動かしたい気持ちはやまやまでしたが、ここは先生の指示に従って我慢です。お腹の中を手術しているわけですから、焦って体に負担をかけるのは禁物。薬の副作用で倦怠感がひどかった時期にやめてしまったダイエットキックボクシングは、体が完全に回復したらまた考えるつもりです。体力が落ちているなと感じる場面もありますが、焦らず少しずつ取り戻していこうと思います。
旅の計画、少しずつ
手術の影響で、友人と行く予定だったトルコ旅行はキャンセルしました。楽しみにしていただけに悔しかったですが、来年また一緒に行こうと約束しています。
嬉しいこともあります。以前マルタ旅行で出会った旅友と韓国で食事会をしようという話が出ています。まだ日にちは決まっていませんが、旅がつないでくれたご縁がこうして続いているのは、本当にありがたいことです。入院中、旅友からの「早く元気になってね」というメッセージにも励まされました。旅先での出会いが、こうして日常を支えてくれることもあるんですね。
今は収入がないことや世界情勢が不安定なことも考えて、まずは旅費を抑えた近場の一人旅から再スタートできたらと考えています。大きな旅じゃなくても、旅に出られるだけで幸せ。健康であることのありがたさが、今ならよくわかります。
入院して気づいた新しい不安
今回の入院で、一つ新しい不安が生まれました。
それは「おひとり様の高齢者になったとき、入院や手術はどうなるんだろう」ということです。
今回は両親が付き添いに来てくれました。手術の前に顔を見て安心できたし、術後も病室に来てくれて「ありがとう」を伝えることができました。入院の手続きや退院の準備も、家族がいたから心強かった。
でも、この先ずっと両親に頼れるわけではありません。独身でパートナーもいない私が高齢になったとき、入院の付き添いは誰がしてくれるんだろう。手術の同意書は誰がサインするんだろう。退院後の生活は一人で大丈夫なんだろうか。術後の夜、痛みや発熱で一人で不安だったとき、ナースコールがあるとはいえ「誰かそばにいてくれたら」と思った瞬間がありました。
入院中、一人で不安な夜を過ごしながら、ふとそんなことを考えました。答えはまだ出ていません。でも、今回の経験を通じて「元気なうちに考えておかなければいけないこと」が一つ増えたのは確かです。おひとり様のFIREライフを送る上で、お金のことだけでなく、いざというときの医療や介護の備えも今後の課題になりました。身元保証サービスや任意後見制度のことも、少しずつ調べてみようと思っています。
シリーズを終えて|不安で泣いていた自分へ
3話にわたってお届けしてきた入院・腹腔鏡手術体験記も、これでおしまいです。
健康診断で子宮内膜症が見つかったときの衝撃。薬物治療がうまくいかず手術を勧められたときの動揺。転院というハプニング。不安で泣いた入院初日の夜。手術台に寝たらあっという間だった全身麻酔。目覚めてからの「寒い、痛い」。管が一本ずつ取れていく回復の喜び。そして退院の朝の感謝の気持ち。どれも忘れられない経験です。
振り返れば、不安の正体は「知らないこと」でした。初めてのことは誰だって怖い。でも、実際に体験してみれば「こういうことだったのか」と思えることばかり。入院前にこういう体験記を読んでいたら、もう少し気持ちが楽だったかもしれません。だからこそ、自分の経験を包み隠さず書こうと思いました。
不安で泣いていた入院前の自分に、こう言ってあげたい。
「思っているより楽だったよ。大丈夫!」
これから手術を控えている方。不安で当たり前です。怖くて当たり前です。でも、病院にはあなたを支えてくれるプロがたくさんいます。一人で抱え込まず、不安なことは遠慮なく先生や看護師さんに伝えてください。泣いたっていいんです。私も泣きました。でも、泣いた分だけ、退院したときの「乗り越えた」という達成感は大きかったです。
そしてどうか、健康診断は毎年ちゃんと受けてください。自覚症状がなくても、体の中では何かが起きているかもしれません。早めに気づけたことが、私にとっては何よりの救いでした。
健康でなければ旅にも行けない。今回の経験で、当たり前だけど一番大切なことを改めて教えてもらいました。51カ国を旅してきた私ですが、60カ国、100カ国と夢を広げていくためには、何よりもまず自分の健康が大前提なんだと痛感しています。体が回復したら、また世界を旅する日を楽しみにしています。
最後に、手術・入院中に支えてくれた両親、友達、そして医療スタッフの方々に心から感謝します。皆さんの優しさに、胸がいっぱいの6日間でした。
シリーズ記事一覧
▶ 第1話:健康診断で子宮内膜症が発覚|腹腔鏡手術を決めるまでの経緯と心の変化
▶ 第2話:初めての全身麻酔は怖い?腹腔鏡手術の当日〜術後2日目までを詳しくレポート
▶ 第3話:腹腔鏡手術の入院費用は約16万円|入院生活と退院後のリアルな暮らし(この記事)
まとめ
- 術後3日目には気力が回復。ジャーナリングで気持ちを整理するのもおすすめ
- 腹腔鏡手術の入院費用は個室利用で約16万円、4人部屋なら約11万円
- マイナ保険証があれば高額療養費制度の手続きが不要で便利
- 民間医療保険未加入でも、生活防衛費があれば対応できた
- 運動再開は手術後2ヵ月から。焦らず体のペースに合わせる
- おひとり様の将来の入院・医療の備えは今後の課題
- 健康でなければ旅にも行けない。健康診断は毎年受けよう


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