1|予想は上海? ワクワクしながら迎えた出発の朝(プロローグ)

ツアー旅行体験談

今年の夏は、少し特別な旅になりました。
初めて「ミステリーツアー」というものに参加したからです。

行き先が分からないまま申し込む旅。
その仕組みを聞くと、ちょっとドキッとしてしまう方もいるかもしれません。
私自身も、「大丈夫かな?」という気持ちがまったくなかったわけではありません。
でも、不思議と不安よりも“どんな旅になるんだろう”という期待のほうが大きく、
申し込んだ瞬間から胸の奥がそわそわと動き始めていました。

今回参加したのは、阪急交通社のアジアミステリーツアー3日間。
“有名ブランドホテルに2連泊”という魅力的な内容で、旅好きとしては見逃せないツアーでした。
ミステリーツアーは行き先が分からないぶんハードルが高く感じられますが、
実際のところ「通常のツアーと同じように安心して楽しめる仕組み」になっています。
参加してみて初めて、そのことがよく分かりました。


前泊した大阪での観光を終え、いよいよ出発当日の朝がやってきました。
ホテルの部屋で身支度を整えると、胸の底から静かにワクワクがこみ上げてきます。

5時20分、宿泊していた「ホテルアストンプラザ関西空港」をチェックアウト。
夏の早朝らしいやわらかな光が外の空気に混ざり始め、眠気とは裏腹に気持ちは鮮やかに動き出していました。

5時30分、前日に予約していた無料シャトルバスに乗車。
利用客は私を含め5名ほど。みんな静かに座り、淡々とした空気の中にも旅の始まりを感じているようでした。
バスは第2ターミナルに立ち寄りつつ、ほどなく第1ターミナルへ向かいます。
早朝の空港は、独特のすがすがしさがあります。
「これから旅に出る人たちの空気」が目に見えない形でふわっと漂っているようで、その雰囲気が私は好きです。

6時、関空第1ターミナル4階の出発ロビーに到着。
キャリーケースの音、人が行き交う足音、漂うコーヒーの香り……
久しぶりに触れる“旅の空気”に、胸がふっと軽くなりました。

6時15分、旅行会社の受付へ。
そこで、半年ぶりに旅友と再会しました。
最後に会ったのはタンザニア旅行のとき。
朝早いのに自然と笑顔がこぼれ、「久しぶり!」と互いに声を弾ませました。
旅先での出会いや再会は、ただそれだけで気持ちを明るくしてくれる力があります。

受付を終え、周りを見渡すと、同じようにミステリーツアーに参加する人たちが集まっていました。
“行き先が分からない”というだけで、どこか親近感が生まれるのが不思議です。
初めての方も多いのか、少し緊張したような雰囲気の人もいれば、
ワクワクが隠しきれない様子でそわそわしている人もいて、その空気感もまた楽しいものでした。

パンフレットの写真やスケジュールを見ながら、旅友とは「行き先はきっと上海じゃない?」と予想していました。
水郷の街、ワンタン、遊覧船、有名ホテル……
ヒントを拾っていくと、どうしても上海周辺の景色が頭に浮かぶのです。

もちろん、ミステリーツアーなので“おとり写真”の可能性もあります。
台湾かもしれないし、韓国かもしれない。
もしかしたらシンガポールという大穴だってある。
そんなふうに答えの出ない会話を楽しめるのも、ミステリーツアーの醍醐味です。

そして7時。
再集合の時間になりました。
添乗員さんが参加者の前に立ち、静かに言いました。

「それでは、今回の行き先を発表します」

添乗員さんが前に立ち、落ち着いた声で言いました。

「今回の行き先は……上海です」

その瞬間、静かなざわめきが広がりました。
旅友と顔を見合わせ、「やっぱり上海だったね」と思わず笑ってしまいます。
パンフレットの写真やスケジュールから予想していたとはいえ、
答え合わせのように行き先が確定するこの時間は、ミステリーツアーならではの楽しさだと思いました。

続いて配られたのは、
関空の出発案内、搭乗する便名、現地到着後の流れ、現地情報などが丁寧にまとめられた予定表。
その紙に書かれた「上海」の文字を見た瞬間、
「ああ、本当にこの旅が始まるんだな」と実感が一気に湧き上がってきました。

実は、中国にはこれまでに何度か訪れたことがあります。
香港には行ったことがあり、北京では乗り継ぎで一泊したことがありますが、観光はしませんでした。
なので、中国本土を観光目的で歩くのは今回が初めて。
初めての土地に触れる旅のドキドキが胸に広がります。


ミステリーツアーは、
「行き先が分からないのが不安」
という声をよく聞きます。

けれど実際に参加してみると、
・受付の流れも普通のツアーと同じ
・行き先発表も落ち着いた雰囲気
・その後の移動も全て添乗員さんが案内してくれる
という“安心の連続”でした。

そして何より――
行き先発表の瞬間に生まれるあのワクワクは、
通常のツアーでは味わえないものです。

これから旅行記を通して、ミステリーツアーがどんな旅になるのか、
初めての方でもイメージしやすいように丁寧に綴っていきたいと思います。
もし、参加しようか迷っている方がいたら、
この旅の記録がほんの少しでも背中を押す存在になれたら嬉しいです。

こうして――私の初めてのミステリーツアーが静かに始まりました。
その最初の一歩が、ようやく確かな形になった朝でした。

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