ヨーロッパの北東部に位置する、エストニア・ラトビア・リトアニアの3つの国――通称「バルト三国」。
高校時代に世界史で「ソ連から独立した国々」として習った記憶はあるものの、正直なところ、長い間その存在は私の中でぼんやりとしたものでした。ヨーロッパといえば、フランスやイタリア、スペインのような華やかな観光地がまず頭に浮かび、「バルト三国」という言葉は、地図の片隅にある小さな国々というイメージでしかなかったのです。
そんな私の意識が一変したのは、ある週末の朝。旅番組『朝だ!生です旅サラダ』でバルト三国特集が放送されていたのを、なんとなく眺めていた時のことでした。画面に映し出されたのは、石畳の街並み、尖塔の立ち並ぶ教会、色とりどりの木造建築が連なる旧市街…。まるで中世のおとぎ話の中に迷い込んだような美しい風景が広がっていたのです。
「こんな世界がヨーロッパの北の方にあったなんて…!」
その瞬間、私の中で“歴史の授業で聞いた国”から“自分の足で歩いてみたい国”へと、バルト三国のイメージは大きく変わりました。
治安がよく、物価も比較的安い──旅先としての魅力
番組をきっかけに、私はすぐにネットやYouTubeで情報収集を始めました。すると、バルト三国が持つ“旅先としての魅力”が次々と見えてきました。
まず気になったのは「治安の良さ」。ヨーロッパ旅行というとスリや置き引きの心配がつきものですが、バルト三国は比較的安全で、街歩きやカフェ巡りを安心して楽しめるという声が多くありました。
さらにうれしいポイントは「物価の安さ」です。西ヨーロッパと比べると物価は抑えめで、レストランの食事やカフェ、ちょっとしたお土産なども手頃な価格で楽しめるという情報に、ますます心が惹かれていきました。
また、コンパクトな国土に歴史ある街並みや世界遺産がぎゅっと詰まっているため、短い日程でも見どころを効率よく巡れるという点も魅力的でした。美しい建物や教会、街歩きが好きな私にとって、バルト三国はまさに理想的な旅先だったのです。
季節選びの決め手は「紅葉」と「旅費」
行き先が決まったら、次は「いつ行くか」。これも私の中では重要なポイントでした。
バルト三国は北ヨーロッパに位置しているため、冬は雪が降り、気温もかなり低くなります。雪景色の街並みも素敵そうですが、初めて訪れるなら気候が穏やかで街歩きがしやすい季節がいいと思いました。
一方で、夏は観光シーズンのピークで、ツアー代金がぐんと高くなることがわかりました。
そこで私が選んだのは「秋」。紅葉が始まり、街の風景が一段と美しくなるこの季節なら、写真にも映えるし、歩くだけで気持ちが高揚しそうです。気温も比較的過ごしやすく、旅費も夏に比べて抑えられるという“良いとこ取り”の時期でした。
ツアー選びの決め手は「ワルシャワ立ち寄り」
行き先と季節が決まったら、次はツアー探しです。バルト三国はまだ直行便が就航しておらず、日本から行く場合はどこかで乗り継ぐ必要があります。多くのツアーは「フィンランド・ヘルシンキ経由」か「ポーランド・ワルシャワ経由」の2パターン。
私はどちらにしようかしばらく迷いましたが、最終的に「ワルシャワ経由」に決めました。というのも、ポーランドにはこれまで訪れたことがなく、せっかくなら乗り継ぎだけで終わらせず、少しでも現地を歩いてみたいと思ったからです。
そんな希望にぴったりだったのが、HISの「添乗員同行・バルト三国周遊8日間【ワルシャワ立ち寄り】」ツアーでした。ヨーロッパが初めての人でも安心の添乗員付きで、4か国を効率よく回れるうえ、最終日にワルシャワ市内観光まで組み込まれているという、理想的なプラン。ツアー内容を見た瞬間、「これだ!」と申し込みを決めました。
訪問国数はついに50か国目へ
今回の旅は、私にとって記念すべき旅でもあります。これまで世界46か国を訪れてきた私にとって、バルト三国は未知の場所。エストニア、ラトビア、リトアニア、そしてポーランドを加えると、これで訪問国数は50か国目となりました。
高校時代、教科書の端に小さく書かれていた国々を、まさか自分の足で歩く日が来るなんて――。そう思うと、出発前から胸が高鳴るのを感じました。
飛行機のチケットを手にし、旅行日程表を何度も眺めては、現地での街歩きを想像してみる。カフェで過ごす午後、世界遺産の旧市街を散策する時間、地元の人たちと交わすちょっとした会話…。
「今度の旅は、きっと特別なものになる」――そんな予感とともに、私はこの秋、長年の憧れだった“中世ヨーロッパの世界”へと旅立つことを決めたのです。
  


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